行って来ました台湾へ! 私にとっては3年半ぶりの台湾。娘にとっては初の海外で す。目的は点子の崇拝する台湾のライブ王・伍佰が出演する『台客搖滾演唱會』を見 に行くため。
さあ、いざ出発だ!
8月18日朝８時過ぎ、洗濯物を干して簡単な食事を済ませてから、家を出た。
出勤時間にまだ早い園長が地下鉄で福岡空港駅まで送ってくれた。
９時過ぎ、国際線ターミナル到着。e-チェックインは済ませてあるが、本当にOKだ ろうか? どうも航空券がないと落ち着かない。カウンターでネット予約時の控え とe-チェックインの記録を提示すると、問題なく搭乗券と領収証を渡してくれた。
荷物検査で並んでいる間も点子は油断すると脱兎の如く逃げ出す。荷物などほった らかしで追いかけ、列に戻るしかない。
出国手続きを終え、ようやく中に入った時にはほっとしたが、こんなことは序の口 だったことを後で知る。
ようやく離陸。点子は何度か東京行きの飛行機は経験しているが、機内食は初めて である。飲み物のサービスがあって間もなく、頼んであったチャイルドミールが運ば れてきた。ちゃんと座席?が書かれているのが嬉しい。
ハンバーグにチキンナゲット、ポテト、パン、サラダ、プリン。それにおっとっと とアンパンマンの野菜ジュースが付いている。 点子大喜び。
続いて大人のミールワゴンもやってきた。久しぶりの機内食に私もわくわく。白ワ インなどもいただいてしまった。
食事の後はもらったシールで遊び、そうこうしているうちにもう着陸である。1時 間45分の飛行時間。本当に東京と変わらない。
銀行で両替後、入国審査場へ。かなりの距離があるが、長い動く廊下に点子は大は しゃぎで案外すんなり着いた。だが、広々とした場所が珍しくて仕方のない点子の探 検心を押さえることはできなかった。走り回っては柱や手すりで遊ぶ。あっという間 にはるか遠くへと消え去る。入境票に1マス書き入れるごとに点子の名を大声で叫び、 連れ戻さねばならない。またまた追いかけっこである。 やっと列に並び、順番が来たと思うと、駆けだしていなくなる。台湾に入国できな いかと思ったよ。
出口を出ると、携帯電話を借りるため、左手にぐるりと回った。そしてまた戻って 今度は右手に回り、リムジンバス乗り場に向かった。 第2ターミナルはきれいだけれど、広くて動きが取りづらい。もう少しコンパクトに まとめておいてくれるといいのになあ。
大有巴士で一路台北市へ。まだ台湾に来たという実感がない点子は間もなくして爆 睡に入った。私もつられてうとうと。
はっと気付いた時は中山足球場である。間もなくだ。
晶華酒店で降車。ほど近い老爺商務会館にチェックインした。いつもよりかなりラ ンクは高い。快適そうで小綺麗な部屋と広いベッドに、点子は満足気である。すぐサ ンダルを脱ぎ捨て、ベッドにジャンプ。
と、何やら水音が。窓を見るといきなりの夕立だ。ホテルに入ってからでよかった よ(涙)。
まずしなければいけないのは、コンサートのチケットを買うことである。
え? コンサートのために来たのにチケットを買っていなかったのかって？
そうなのである。伍佰の事務所から「子連れで入っていいよ」と許可をもらった段 階で舞い上がり、肝心のチケットの手配が遅れてしまった。一応事前にチケット販売 元の年代の会員登録をし、購入を試みたのであるが、なぜかクレジット決済のところ ではねられてしまう。しかたがない。台北在住の友人を頼ろう。だが、いつも助けて くれる林小姐は仕事で中部の鹿港に取材に行っている。陳昇ファン仲間の蛋蛋の電話 はつながらない。もう時間もないので、年代に電話をかけ、前日でもチケットが買え るかと尋ねた。
「可以」。
というわけで、到着後すぐチケットを買いに走ることになったのである。年代のプ レイガイドを調べると、ホテルの並びにある衣蝶デパートの新館インフォメーション で買えることがわかった。歩いて50メートルほどのところだ。雨の中でも、モールが あるので点子を連れてなんとか行ける。ありがたい。
無事チケットをゲットすると、一度ホテルに戻り、テレビを見たりゴロゴロしたり。 そうこうしているうちに雨が上がったので、散歩に出ることにする。数軒隣にある薬 局「屈臣氏(ワトソンズ)」でお風呂遊びのおもちゃなどを購入。ここは滞在中、何か と便利に使わせてもらった。
同日入台予定のCOMOさんが宿泊する予定のホテルがすぐ近くなので、ぶらぶらと歩 いていく。まだ到着していないだろうと思いつつ、フロントで尋ねると、「有」と返 事があり、「そこの内線電話をかけてみなさい」と言う。
まさに到着したてのCOMOさんを拉致すると、外に出た。まだ夕食時間には早いので、 近くにある台北ナビ・プラザを訪ねてみた。ここを立ち上げた知人・H橋氏が運良く 在席していて、久しぶりに再会できた。
しばし歓談後、点子の希望により、珍珠[女乃]茶のおいしい店「春水堂」にCOMOさ
んが連れて行ってくれた。ここのポットで出てくる温かい珍珠[女乃]茶がとても気に
入ってしまった。濃厚なミルクティーに黒タピオカがたっぷり。幸せだなあ。点子は
冷たいほうがやはり良いようで、ほとんど一人で飲み干してしまった(写真左)。一般
的な黒タピオカよりも小ぶりで、ストローも細い。
ここの女性用トイレには、なんと小さな子ども用の便器が並んでいる(写真右)。
これを点子はすっかり気に入ってしまった。何度も「出る」と言ってはトイレに行く
ので、ゆっくり飲む暇もない。自分で座れるのがよほど嬉しいらしく、「ママ行って」
と私を追い出し、一人でふたを上げ、オムツを下げて用を足し、ちゃんとふいてゴミ
箱に捨て、オムツを上げ、流す。ドアを細く開けてじっと見守る私は女性用トイレを
覗き込むあやしいヤツ。得意げに出ていた点子を抱きしめて、手を洗ってやった。さ
すがにここは高くて点子は手が届かない。その後、私の愛する ボス・高明駿 が経営するタイ料理レストラン「 皇城泰緬餐廰 (今は皇城泰式料理という名前みたい)」に! ボスは店にはいないけれど、総経理をやっ ている馬さんがとてもよくしてくれるので、台湾に行くたびに必ず寄ることにしてい るのだ。
馬さんは前より太って貫禄がついていた。だが、にこにこと愛想がいいのは相変わ らず。再来を喜んでくれ、マンゴージュースをサービスしてくれた。おなじみの月亮 蝦餅、鶏のココナッツミルク煮、空芯菜の炒め物、お薦め炒飯、鳳梨炒蝦仁を頼んだ。 ちょっと味が変わった気がしたけど、おいしかったあっ。点子も結構ばくばく食べて いたよ。あ、デザートのモモチャチャ頼むの忘れた(笑)。
ここでも点子はトイレに行きたがったのだが、ドアに手をはさみ、大泣き。馬さん がマウス型ライトのペンダントをプレゼントしてくれたら、泣きやんだ。帰ってから も「馬さんがこれくれたねぇ」と言っていた。
そうそう、ボスは今は大陸を拠点にしておりほとんど台湾にはいないのであるが、 今年末に帰ってくるそうだ。台湾でまた活動を開始してくれると嬉しいな。それより アルバムはどうした(爆)。肝心なことを聞いてくるのを忘れたよ。ちっ。
店を出ると、すぐ近くの書店・金石堂へ。まるはこ園長へのおみやげに台湾野菜の本 を探したかったのだ。少し眠たげになっていた点子であるが、本の匂いを嗅いだ途端、 突然ハイになり、書店内を走る走る。結局本はなかったのだが、ゆっくり他の本を物 色することもできず、すぐに退散する。
COMOさんはその後タクシーで我々をホテルまで届けてくれた後、「河岸留言」とい うライブハウスに胡徳夫と自然捲のライブを見に行った。これ、一人だったら私もぜ ひ行きたかった演目だった(涙)。点子の様子次第で…とも思ったが、さすがに９時半 開演だからねぇ。おとなしく帰って正解だろう。
ホテルに戻ると、園長に電話し、お風呂に入って就寝。まだやや興奮している点子 はふかふかベッドでしばらくはしゃいでいたが、さすがに疲れていたのだろう。ほど なく撃沈。
さ〜て、明日はいよいよメインイベントのコンサート! 伍佰との対面だ!
8月19日(金)
2日目である。
仕事のためずっと3時4時起きが続いていたためか、5時に目覚めてしまう。再度寝 て6時、7時に起き、やっとこさベッドを離れた。点子は高いびき。支度を済ませてか ら再び起こすと、すっきり飛び起きた。
8時過ぎに朝食。部屋を出てすぐ左手のレストランでのバイキング。普段なら朝ふ らふら散歩しながらパン屋さんのモーニングだの自助餐や屋台での朝ご飯を楽しむの であるが、今回は朝食付きが大変ありがたかった。点子もクロワッサンにジャムをつ けて「おいしいおいしい」とよく食べていた。豆乳も飲んだ。カリフラワーのサラダ もパクパク食べた。
部屋に戻ると、前夜到着した陳昇ファン仲間のしおんさんに電話してみた。出ない。 深夜到着後夜市に繰り出すと言っていたから、まだ寝てるのかなー。
午後に友人と会う約束をしているが、それまでは特に予定もないし、あまり点子を 連れ回して夜までに疲れさせてもいけないと、前日行った春水堂にまた珍珠[女乃]茶 を飲みに行った。前日は2階にあるトイレにいちいち上がるのが大変だったので、今 回は2階の席を陣取った。窓から隣の林森公園が眺められ、気持ちがいい。
と、しおんさんから電話がかかった。昨夜はホテルの部屋で室外の音に悩まされ寝 付けなかったという。災難だったねぇ。
「お昼でもCD屋でもつき合うよぉ」というお言葉に甘えることにし、後ほどお昼を 一緒に、と約束して電話を切る。近くに麺のおいしい店があるというので点子に「お 昼、ちゅる食べようねぇ」と言うと、「おうちでご飯食べる」と言い出した。あちゃー 、いきなりホームシックのようだ。
なんとかなだめすかして店を出て、林森公園を散歩することにした。緑の中を歩く だけでも気分が変わるだろう。点子にも少しイキイキとした顔色が戻った。と、遠く に滑り台が見えた。ありがたい。児童遊具場があるようだ。
小さなスペースであるが、家の近くの公園にもあるような滑り台を見つけて点子は 大喜びで駆け寄った。
「ママものぼる!」と呼ぶが、あちこちに「限重30公斤」と書かれているからね。さ すがに遠慮しておくよ。
何度も上ったり滑ったり。実に楽しそう。(写真)ああ、公園があってよかったね。昼近くになったのでホテルに戻る。しおんさんに電話して待ち合わせをするが、点 子が「お風呂に入ってねんねする」と言う。
とりあえずお風呂に入れて着替えさせようとしたのだが、嫌がってパジャマを着て ベッドに潜り込んでしまった。そうこうしているうちに内線電話が。すでにフロント で待っているという。仕方がないので「こんにちはだけしなさい」とドアからちょっ と覗いてご挨拶。フロントのすぐ横の部屋でよかったよ。
知った顔を見たら安心してお昼に出るかなあ、と淡い期待も抱いたのだが、そのま ま部屋にくるりと戻ってしまった。がっくり。
少し寝かして2時の待ち合わせに間に合うように出ようと思ったのであるが、これ が寝ないんだ。ならばと服を着せようとするが、嫌がって部屋中を駆け回る。追いか けっこを続けるうちにも刻々と時間が過ぎる。別の服を出して誘ってみたらやっとの ことで着替えて出かける気になった。ふぅ。もう時間ぎりぎりだ。タクシーを飛ばし て待ち合わせの場所・小龍包の「鼎泰豊」の隣の金石堂書店に向かった。
待ち合わせた友人は、台北在住の日本女性、Y下さん。ご主人は原住民のプユマ族 で、本業(テレビ局のカメラマン)の傍ら、ミュージシャンをしている。実は私は彼が 所属しているAM合唱団というグループが大好きで、旭川で彼らのライブがあった時に 駆けつけたのであるが、その時通訳で同行していた彼女と出会ったのが初対面であっ た。その時のレポは こちら。
お二人は羨ましくなるほど微笑ましく素敵なカップルだ。当時はまだ恋人同士であっ たが、今や彼女も二人の元気な原住民坊やのママである。彼らと点子を会わせるのも 楽しみであった。
ところが、点子は金石堂を徘徊しているうちにお腹が空いたのと疲れたのとで、Y 下さんに会った時には寝てしまっていた。仕方がないので、近くの小龍包屋さんに入 り、軽く食事をすることになった。
写真では見ていたが、お兄ちゃんのSノウくんは照れた笑顔がかわいい元気いっぱ いの坊や。弟のRサオくんはよく寝てよく食べるママ思いの坊や。Y下さんもすっかり ママの貫禄がついていた。Sノウくんと点子を遊ばせられなかったのは残念だが、お かげでゆっくり積もる話ができた。ひとしきり食べて話もした頃、点子は起き出して、 すごい勢いで残ったものを平らげてしまった。
突然現れた男の子に点子は驚いたようだったが、しばらくすると慣れ、お互いにちょ っぴり意識するようにはしゃぎだした。また駆け回りモードに入りそうだったので、 近くにある有名なかき氷屋「冰館」に移動した。直前にまたもや夕立が降ったためか、 ほとんど並ばずに座れた。ラッキー! たっぷりのマンゴーかき氷を堪能し、大満足!
点子もおいしいおいしいと、大盛りの皿の大半を食べた。
別れを惜しみながら点子はSノウくんと握手してバイバイした。そして、「CD屋さ んに行く」と主張する点子のために(?)、我々はまたまたタクシーで台北駅前の大 手CD店に向かった。
ちなみに、Y下さんのご主人・小陸(文傑 格達徳班)はきたる2005年9月18日に新宿 のロフトでライブをする。紀暁君(サミンガ)、陳建年、巴奈といったいつもの角頭ファ ミリー総出演という、超豪華ライブだ。あ、巴奈は急に来られなくなったらしい。私 も翌日にキャラメルボックスの福岡公演のチケットを取ってなかったら行ったかもし れないよ(涙)。興味のある方は極上の幸せ気分に浸れる生の台湾原住民音楽をぜひ体 験してみてほしい。絶対おすすめだよーん。
詳しくはこちら。
あまり荷物を増やしたくなかったので、爆貧はほどほど。 買っていなかった伍佰のVCD数枚と、はこまる氏の誕生日のプレゼントの劉若英(レネ・ リウ)のライブDVD、王宏恩のサード・アルバム、ソル・ギョングの「力道山」のDVD のみ。わー、本当に少ない。前日金石堂で買った「ちびまる子ちゃん」の5枚組VCDと 映画「小畢的故事」と併せてもたいしたことないね。もっと欲しいものもあったんだ けど、物色しているとキリがないのでやめておいた。
大人になったものだね。ふっ。
かつて福岡のCD店で店員さんに「伍佰CD!」と訴えながらも「は?」と問い返された 点子であるが、棚に伍佰のCDが並んでいるのを見て感動したようである。後で、「伍 佰たくさんあったねー、ボビーもあったねー」と感慨深げにくり返していた。
買い込んで店を出ると、「おうちでビデオ見る」だと。
「これから伍佰に会いに行くんだよ!?」
「いや、おうちに帰る」
うわぉ! 勘弁してくれよ。何のために来たんだよ。私は泣きたくなった。ちなみ にこの「おうち」はホテルのことなのだけどね。“伍佰に会う”ということをまった く理解していない。
その後は、COMOさん、しおんさん、そしてやはり『台客搖滾演唱會』を見るために 来台していたkobayashiさん、benqiaoさんと早めのご飯を食べに行く予定だった。だ が、点子はお昼も遅かったし、マンゴーかき氷をたらふく食べたばかりだし、お腹が 空いていなかったらホテルでしばらく休んでから直接行くか…と思ったのだが、「ご 飯食べに行く?」と聞くと「食べに行く!」と結構やる気。ちょっとびっくり。
ほっとしながらも気が変わる前に、と慌てて待ち合わせ場所の善導寺駅に向かった。 地下鉄で一駅。今回タクシー以外で唯一使った交通機関だった。
向かう先は「三[魚×3]食府」という食堂。何料理になるのかな? 菜物とかスープ とか大変おいしくいただいた。ここで、子供用の椅子を出してもらったのだが、いく つかの大きさの子供椅子が揃えてあってびっくり。さすが子供にやさしい台湾だね。
ここのトイレは地下に降りて右に曲がったところにあるのだが、左側が暗い部屋に なっている。点子は「おばけちゃんのおうちかな。こわいねぇ」と興味津々である。 2〜3回目に行った時に、明かりがついていて普通の男の人がいるのを見て、「おばけ ちゃんのおうちじゃなかったね」とがっかりした様子だった。実は“ちょっとこわい” ものが大好きな点子であった。
そしてコンサート
腹ごしらえが済むと、いよいよメインイベント、『台客搖滾演唱會』へ出動だ! 我々は2台のタクシーに分かれて会場・台北国際会議中心に向かった。
が、ちょうど映画「四月の雪」で来台中のヨン様のせいで、大渋滞だ。ちっ。はら はらしつつもぎりぎりに到着。入り口に駆け込む。伍佰の事務所から来たメールによ ると、入り口を入ってすぐ左手のインフォメーションにいるS小姐を訪ねるようにと のことだった。そうしたら、どうやって入ったらいいかわかるようにしておく、と。 関係者デスクの中の責任者らしきおばさまにメールを見せながらS小姐はいるか、と 尋ねた。
「不知道(知らない)」
へ?
いくつかデスクがあったので、何人かに聞いてみた。皆「不知道」である。おーい。 仕方がない。普通に中央エスカレーターに乗り、3階まで上っていった。ホール入り 口でチケットをもいでいる。我々のチケットももおねいさんがにこっともいでくれた。 荷物チェックもなかった。なーんの問題もなく入れたよ。
会場に入ると、点子に毛が生えたくらいの男の子がいた。お母さんに抱かれた赤ちゃ んもいた。おいおい。いいんかい。
たとえS小姐がいたとしても、「そこのエスカレーターを上っていってね」と言わ れただけだったかもしれないよ(爆)。
COMOさんたちの席に立ち寄り、私と点子は自分たちの席へ上っていった。点子は会 場の雰囲気に気圧されたようにきょろきょろ辺りを見回している。そして、ステージ 横に映し出された伍佰のMVを見て、大きく目を見開いた。
「台湾だね!」
おお、そうだよ。ここが台湾だ。みんなが伍佰を知っている台湾なんだよ! 「暗いねぇ」という点子に「始まったら明るくなるよ」と言うと、「伍佰が明るくし てくれるよ!」と言う。
ああ、健気な台詞だよ(涙)。そして、頭上を回る巨大なミラーボールにも驚き、 「なんだろうねぇ」を連発していた。
と、いよいよ開幕! まずは閃亮三姉妹という三人娘が景気良く台湾語ロック「抓 狂」を。点子必死で拍手。そしてBABOO登場。
BABOOが退場するやスクリーンに「張震嶽」の文字が! 会場中大歓声だ。1曲目は 「馬拉桑」。2曲目は素直なアップテンポの曲。どこか懐かしい初心に返ったような 曲。何だっけなあ。張震嶽のこういう曲は結構好きである。3曲目は「愛の初体験」。 これやってくれるとは思わなかったよ。
4曲目でMC HOT DOG参加。一緒に「我要銭」。
続いてmachi。ノリのいいラップ。 machiが退場し、「次は誰かなあ」と点子が言うや、スクリーンに「伍佰」!!!! いやあ、こんなに早く出てきてくれるとは。会場は騒然である。早くも立っている観 客もいる。
ステージにギュイーンと響くギター。「愛情的盡頭」だ! 青いコートがクールでかっこいいよぉ!
そして「浪人情歌」「樹枝孤鳥」「下港人在台北市」「樓仔借(がんだれ)」「世界 第一等」。
点子は一生懸命ステージを見つめ、一心不乱に拍手していた。
伍佰退場で、私は一仕事終えた気分だったが、点子は意外に冷静で「所以暫時将ni 眼情♪やってくれなかったねぇ」「次は猪頭皮だと思うよ」としれっと言う。
閉まった幕の前に出てきた金髪にサングラスの男。やたら元気にはね回っている。 つなぎの若手か? と思うや「我是神経病♪」と歌っているではないか。まさしく猪 頭皮だよ。舞台上手に机とライトを置き、ギターをかき鳴らしながら「あのー、どう もどうも」なんて言っている。猪頭皮の曲はあまり知らないし…と思っていたのだが、 大変愉快なステージを楽しませてくれた。さすがである。
そして! いよいよ陳昇登場! 伍佰のかっこよさも半端じゃなかったが、正直私は 陳昇の歌声を聞いた途端に震えた。相変わらず彼の声は素晴らしい。
白い帽子にテキ屋のようなスタイルの陳昇に三つ編みの阿vonで「歓聚歌」。阿von お得意の「車輪埔」。「阿春仔伊阿[女麼]」「大地」「多情兄」と新寶島康樂隊の曲 が続き、阿vonが女声をつとめて「北京一夜」だ。
点子は残念ながら2曲目の「車輪埔」で眠りに落ちてしまったが、この時点で10時 くらいだったのだから、よく頑張ったと思う。
盛り上がって再び伍佰登場! と、階段を駆け抜ける人影。我々に気付くと、「早 く前に!」。しおんさんだった。伍佰を一目間近で見せてやりたいと、点子を迎えに 来てくれたのだ。
陳昇と伍佰の「鼓聲若響」! ああ、なんと素敵。点子も寝ぼけながらも手を叩い た。
すぐ目の前にいる伍佰をじっと見つめ、退場した後も「アンコ! アンコ!」と一人 前に叫んだ。アンコールは猪頭皮や閃亮三姉妹らも加わって「愛[才并]才会贏」。会 場が一体になった!
興奮に体をほてらせたまま、外に出る。知らないミュージシャンの時に飽きたり、 伍佰が出てくる前に寝てしまったらどうしよう、とか心配したが、点子は十分楽しん だようであった。それぞれのミュージシャンに精一杯拍手を送ったし、いろいろな人 たちがとっかえひっかえ出てくるこういうコンサートは最適だったようだ。
これからマンゴープリンを食べて帰るというしおんさんたちと分かれ、我々はホテ ルに戻った。
「みんなはどこに行ったの?」と言う点子に「マンゴープリン」食べに行くんだって」 と答えると、「てて(点子の自称)はマンゴーかき氷食べたからね」と言う。よしよし。
ホテルに着くと、パジャマに着替えさせ、ベッドに追い込む。さすがにアッという 間に熟睡だ。
眠ったのを見て、私はこっそり、急遽その夜鹿港から台北に戻ってきた林小姐に電 話をかけた。彼女は仕事で疲れているのにホテルまで来てくれ、2時近くまで話し込 んだ。
充実した一日だったよ。
