私は台湾のガムテが大好きだ。と言うと、皆一様に「ガムテ?」と怪訝な顔をする。 元来ガムテは「好き嫌い」を云々するものではなく、必要な時に使う実用品でしかな いからだ。
私も台湾ガムテとの出会いは「必要に迫られて」だった。街を歩いている時、鞄の 肩ひもと本体をつないだ金具が、鞄の重さに耐えかねてぽっきりと折れてしまったの だ。私は困って、ひもでも買おうとコンビニに入った。しかし、いわゆるビニールひ ものような類の物が見あたらない。その時目に入ったのがガムテだったのだ。「仕方 がない。ガムテをひも替わりにしよう」とひもの代用品として買い、ホテルの部屋で 鞄と肩ひもをつないだ。見た目は悪いが仕方がない。
が、その台湾ガムテは私の目から鱗をぼろぼろと落としてくれた。まず、恐ろしく 頑丈だった。金具が音を上げた重みに見事耐え切り、伸びもしない。私は、用済みに なったはずのガムテを大事に日本に持って帰った。そして、たまたま送ろうとしてい た書類の封を留めた。スーッ、ピッ。キレもいい。表面のすべすべ感もいい。そして 薄い。日本のガムテは丈夫で良質だが、使っていると手がべたべたしてくるし、うっ かり貼り付いてしまったらお手上げだ。ところが、台湾ガムテは使い心地があっさり しており、ぺたっとくっついてしまってもさっと剥がせる。何度でも使える。それか ら私は台湾ガムテなしでは生きていけない体になってしまった。
以来、私は時々大事な人への台湾土産にガムテを買う。だって結構かさばるし、自 分のために買い込むから、余分に買うということは私にとっては大変なことなんだか ら。結婚パーティーの引き出物にもした。私から「はい、お土産」といってガムテを 貰っても、怪訝な顔はしないでね。
一度使ったら、あなたももう虜。今では「台湾に行く時は買ってきてね」とまるで パイナップルケーキやからすみを頼むように、当たり前にねだる友人だっているのだ から。騙されたと思って使ってみてください。気に入らなかったら喜んで引き取りま すよ。
大１個30元。コンビニや文房具店にて販売。保存期限は３年。現在我が家には５個 在庫がある。なくなる前に台湾に行かねばならない。そわそわそわそわ…。
仕事先の事務所にも常備している。そこの経理の女性が映画「熱帯魚」を観た時、「やっぱり
ガムテの色が同じだったわ」と妙に興奮して言った。ちなみに、日本のガムテは黄土色だが、
台湾ガムテはやや緑色を帯びている。
香港ビニテ
台湾ガムテの良さを認識してしまった私は、香港のガムテ事情も気になって仕方が ない。すると、香港好きの友人がリサーチしてくれた。結論。「香港ではガムテは使 わない」。香港では荷造りは「ビニテ」が常識のようだ。ギョウ虫検査の時の粘着テー プのような丈夫なビニテ。確かに段ボールの荷造りには強力な助っ人になってくれた。 なるほど。
韓国ガムテ
意外なガムテ天国・韓国。その種類の豊富なことに驚いた。韓国ではガムテは一つ のファッションなのだろうか。オーソドックスな黄土色のほかに赤、緑、銀色、青、 黄色…色とりどりだし、材質もいわゆる日本の布ガムテタイプのほかに、粘着力皆無 のごわごわガムテ(何に使うんだ?)、透けて見える色つきビニテ、裏紙を剥がして使 うタイプなど、さまざま。路上のスタンドでも売られているし、雑貨店にはくらくら してしまうほど多量のガムテが並んでいる。
多く出回っているのは緑の布ガムテタイプのようだ。ちょっと粘りがあるが、使い 勝手は良い。布目模様もラブリー。ちょっと透け感のある色つきビニテが私好み。
韓国映画「カル」の１シーン。元々ビデオ画面なので、画像が鮮明でないが、どうやら口を
ふさいでいるのは黒いガムテのようである。身体を固定している赤いベルトとの対比が鮮や
か。剥がすと、ガムテの裏側は白かった。しばられているのはキム・ギヨン。この後どうな
ったかは、映画でご確認ください。
さて、他のアジアのガムテ事情に詳しい方、レポートお待ちしております。
竹の子傘
