陳昇1999年水里・秘密花園ライブ

【日時】１９９９年８月１４日（土）７：００開演 【場所】集集線終点・車［土呈］駅（水里）にて 「陳昇の野外コンサートが水里であるらしい」という話を聞いて、うひょひょひょっ と浮き立つ私。集集線は、台中の少し南の二水という駅から内陸のほうに入っていく 小さなローカル線だ。そんな味な場所での陳昇の野外コンサートがおもしろくないわ けがない! しかも無料コンサートだ。 　「その時期なら行けそうだ」とうきうき航空券の手配をしたものの、台湾中南部を 襲った台風で集集線は土砂崩れのため不通、中止かもしれないというニュースが入っ てきた。が〜〜〜ん。やきもきしながらも「どうやらやるらしい」の朗報が前日飛び込 む。 　もう、とりあえず行くしかない。 　８時50分羽田発の中華航空で台北の空港に着くとそのまま台中行きのバスに乗り、 ３時間。225元。ところが、台中駅から電車に乗るため切符を買おうとすると、 「集集線は不通だよ」 というショックな答え。とりあえずライブの状況はどうか、すでに台湾入りしている 陳昇迷仲間のYOKOさんに電話をしてみる。 ※YOKOさんは陳昇も認める陳昇ファン日本大使である。彼女の陳昇サイトは こちら。 　ライブはある模様で、彼女はすでに会場に来ているという。かなり焦りながらも、 道すがらパスの窓から水里行きのバスが見えたのを思い出してバス停へ走った。よっ しゃ、これでどうにか水里までは行ける!　会場は駅だというから行けばなんとかな るだろう。バスに乗り込み安堵して窓の外を見ていると、金沙百貨の前にすごい人だ かり。YUKIちゃん(徐懐[金玉])の簽唱會だ。大きな垂れ幕を横目に見つつ一路水里へ。 ２時間。 　ところが、ようやく水里駅に着いたものの、駅は閑散としていて演唱會が行われて いる様子はまるでない。 「秘密花園（会場名）はどこ？」 荷物を引きずりながら探しまくった。すでに開演１５分前。再びYOKOさんに電話をか けようとテレカを買いにコンビニに入った。レジのお姉ちゃんが哈日族で、とてもフ レンドリーだったので「陳昇のコンサートに行きたいんだけど…秘密花園はどこ？」 と聞いてみると、「車がなければ無理よ!」と言う。ならばいっそ、とタクシーに飛 び乗った。暗い山の中をひた走る走る。 （歩かなくてよかった…） 安堵する私。山を登り切った辺りに来ると、何やら大きな音が聞こえてきた。ドキド キ。 「ここだよ」 　タクシーを降りると、そこから細い坂道をずっと下っていったところに会場 らしきものが見えた。近所の家族連れもぞろぞろ向かって行く。 （きっとそうだ、そうなんだ。村祭りだったら怒るぞぉ） とつぶやきながら後を着いて行く。 　坂を下り切ると、だだっ広い敷地に人、人、人…。じゃりを踏みながら奥へと進ん でいった。ホームに座っている人もいる。 開演前の曲がスピーカーから流れている。 「こ、ここだぁ」 ほっと胸をなで下ろす。集集線の終点といっても、水里ではなく今は使われていない 「車［土呈］駅」だったのだ。 　どのようにステージが設営されているのかわからなかったが、中央に座り込んでい る人たちがいて、その回りをぐるっと立ち見の人々が取り囲んでいる。 　ずいずい進んでいき自分の位置を確保する。するとほとんど時間をおかずにバンド のメンバー、そして陳昇登場!　ふわふわと子どもみたいに髪を立てて、よれよれの Ｔシャツにひざまでの半ズボン姿。すごくリラックスした雰囲気だ。 　明るくなってみると、私が陣取ったのはステージに向かって上手やや中央寄り。ラッ キーなことにとても見やすい位置をキープしていた。陳昇はポロポロとギターの音会 わせをしていたかと思ったらそのままイントロに入り、「然而」。アコースティック で淡々とした私の大好きな名曲だ。アレンジも効いていて思わず泣きが入った。 　満天の星の下での陳昇の野外コンサート。第１曲目にぎりぎり間に合った。 　そのまま「風筝」に続く。ゆったりとしたメロディがやさしい人気の曲。そして、 「鴉片［王攵］瑰」「恨情歌」。ギターの伴奏がとても美しいアコースティックな 曲が続く。イントロの途中でいきなり陳昇、演奏を止めてしまった。どうやらギター の調律が合っていなかったよう。調整して再び開始。そして「鴉片［王攵］瑰」のア ルバムの中から「流星小夜曲」。野外コンサートにはふさわしい曲だ。と、新寶島康 樂隊の阿von登場! 「寶島戀歌」。会場中「ソイヤッソイヤッ」のかけ声で盛り上がった。 「車輪埔」「日出」。みんな手拍子の嵐で大声で歌う歌う。どんな宴会だ、というほ どの大騒ぎである。もちろん私もさ。今にも黄連ユィが出てくるのではないかと淡い 期待を覚えたほどだったが、さすがにそれは無理な願い。続くは「歡聚歌」。そして これまた私が大好きな「台北附近」。地名部分が「秘密花園」に換えられていた。 （^-^） 　もう、楽しくて陽気な新寶島康樂隊の珠玉の名曲が続き、阿vonの代表曲「大地」。 このMTV、すごくかっこいいんだよー。肺活量抜群の阿vonの伸びやかな歌声が響く。 　そして、任賢齊（リッチー・レン)の台湾語曲「心情車站」。車站での演奏には最 適!　これもいい曲だなー。ゆったりとした任賢齊の原曲とはちがった明るく楽しい アレンジで陳昇色に。本来だったらここでリッチー登場!となるのだろうが、リッチー もこの日墾丁でコンサート。こちらも行きたかったなあ。（^^; 　野外で聞くと特に楽しい「多情兄」。ここで、この頃デビューした爽やか３人組・ Y.I.Y.Oがゲストで登場。美形アイドルが少ない台湾芸能界ではそこそこ人気が出る のではないかと思われる３人だ。(と思いきやこれっきりだった) 　中の１人が陳昇に「任賢齊に似てるだろ？」なんて言われていた。 Y.I.Y.Oが「昇哥の曲を歌うよ!」と「責任」「把悲傷留給自己」、さらに陳昇の曲 を何曲か演奏する。 　陳昇の休憩タイム。Y.I.Y.Oが自分たちの曲を歌う。そこそこ歌はうまくて、なか なか好感が持てたが、昇哥が戻ってきたら途端に色あせて見える。まるで小僧っ子だ。 とてもとてもかなわない。がんばれよー。 　陳昇、復活。 「最後一次温柔 」「細漢仔」…。ステージから客席へ。カメラが据えられたやぐ らの上に座ってしっとり歌う。 　阿vonがまた出てきて一緒に「黄昏的故郷」。この「黄昏的故郷」の間奏中に陳昇 は突然客席を指さし「YOKO!」と叫んだ。おおっ、YOKOさん、いたか。すでに何度も 陳昇と面識のある彼女だったが、まさかコンサートのステージ上から自分の名を呼ぶ とは思わなかったようだ。そんなあっけらかんとした無邪気さも陳昇の大きな魅力の 一つだ。 「壊子」「船長要抓狂」…。カラオケではダントツ人気の「鼓聲若響」。 　ラストはみんなに「何がいい?」と聞いてリクエストがダントツだった「Summer」。 ごきげんな大合唱で締めた。 　陳昇の野外コンサートには一度行きたいと思っていたが、思った通りの 最高のコンサートだった。あちこちで携帯は鳴るは虫はブンブン飛んでいるは、なん とも暢気で楽しい、ほんとに村祭りのようなライブ。これはくせになりそう。機会が あったら何度でも参加したい。 　私は興奮したまま、陳昇の私設ファンサイト「昇網」の網友たちと合流。YOKOさん とも会え、喜びと興奮を分かち合った。 　そのまま昇迷たちは車をくり出して夜食を食べに行き、大騒ぎ。ギター抱えて二次 演奏会をやる組も…。 　YOKOさんと私は、翌日台南に移動する予定だったのだが、ちょうど台南から来てい た網友(妹妹)がいたので、車に乗せてもらい、そのまま台南まで深夜のドライブをす ることに。ひゃ〜!（@o@）車の中では引き続き陳昇の歌がエンドレス!　幸せ〜。 　台南のホテルに転がり込もうと思っていたYOKOさんと私だが、妹妹が何やら電話を かけていたと思ったらいつの間にか、やはり網友の罐頭のおうちに泊めてもらうこと になった。ええーっ?　もうすでに夜中で、台南に着いたら３時は過ぎちゃうよ? 「いいのいいの。没問題」 ほ、ほんと? 　結局台南に着いたのは４時頃。挨拶もそこそこにベッドに転がり込んだのだった。 YOKOさんはともかく、私は罐頭とは初対面なんだけどなあ。ほんとにお世話になりま した。ありがとね。 この続きは旅行記に。